[Dr.OSのやさしい機械式時計ライフ]
Vol.1 機械式時計をより長く楽しんでいただくために

2022年04月21日

機械式時計は日頃の使い方やメンテナンス次第で、長年使用できるプロダクトです。オリエントスターが目指しているのは、ユーザーの皆さんにできる限り長く機械式時計を楽しんでいただくこと。そのために役立つ情報を、オリエントスターが誇るメンテナンスのプロフェッショナル、Dr.OS(ドクター・オーエス)がお届けする「Dr.OSのやさしい機械式時計ライフ」をスタートします。初回は機械式時計の魅力やメンテナンスの種類についてお答えします。

文: with ORIENT STAR 編集部



機械式時計は、人にも地球にも配慮した時計


――Dr.OSさん、これから機械式時計の取り扱い方やメンテナンスについてじっくり教えてください。まず、機械式時計って良いものと聞くのですが、具体的に何がいいのでしょう?


Dr. OS(以下略) こんにちは。オリエントスターの修理技能士を務めるDr.OSです。機械式時計の魅力はたくさんありますけれども、まずはきちんとメンテナンスをすれば長く使えるということですね。子どもや孫の代まで世代を超えて受け渡していけるものなんですよ。

――世代を超えるくらい長く使えるのですか?

はい。
というのは、すべて機械部品で出来ているからなんですよ。腕時計を大きく分けると、ぜんまいの力で動く機械式時計と、電力で動くクオーツ式時計があります。クオーツ式時計は内部の機構に電子回路や電池を使っています。電子回路は生産が終わってしまうと交換ができないので、一定期間が経過すると修理不能になってしまうことがあるんですね。でも、機械式時計の場合は、きちんとメンテナンスをすれば基本的にパーツを交換する必要がありません。だから長く使い続けられるんです。

また、クオーツ式時計では電池に寿命があるため、どうしても電池の廃棄物が出てしまいます。その点、パーツの交換が原則不要な機械式時計は、余分な廃棄物が出ません。長く使える、廃棄物が出ないということから、地球に配慮した製品であることも機械式時計の魅力なんですよ。


――世代を超える、地球に配慮したなど、心に響く部分が多いですね。

そうですね。機械式時計の魅力って感情的な部分も大きいんです。クオーツ式時計やスマホが普及する今の時代に、ぜんまいの力で動く機械式時計を知っている、身に着けていることに満足感や高揚感を覚える人は多いですね。

機械好きの人でしたら、自分で機械を操れる点も魅力だと思いますよ。機械式時計の中でも特に手巻き式の時計は、りゅうずを回してぜんまいを巻き上げ、そのぜんまいがほどける力で中の機械が動きます。そのりゅうずを回す行為が「時計に命を吹き込んでいるようで好きだ」という方もいますし、実際に機械が動いているさまを見るのは楽しいものですよ。

Dr.OSの作業机。ここで内部機構(ムーブメント)の分解や組み立てを行う。道具の多さにはびっくり


――温もりを感じるというか、生き物に近い感じがしてきました。

とても人間味を感じる部分もあって、機械式時計をご覧になったらぜひ秒針をチェックしてみてください。じつはクオーツ式時計との違いが秒針の動きにあります。一般的なクオーツ式時計の秒針は1秒刻みでカチッ、カチッと進みます。一方、機械式時計の多くは、0コンマ何秒か刻みでチチチチと流れるように進むんですよ。これはぜんまいの力で駆動して歯車で動いているからこういう動きになります。時計を耳に当てるとチチチチと聞こえますよ。その針の動きが、「頑張っているようで見入っちゃう」という声も聞きますね。

――デジタルツールが主流の今だから、そういうアナログの良さが新鮮です。

機械式時計の原理は、じつは300年近く変わっていないんです。現在の機械式時計の原型となる機構が発明されたのが18世紀半ばと言われていて、その基本的な仕組みは今も同じ。こんなプロダクトはちょっと他にないですよね。そういう歴史に魅力を感じる方も多いようです。

with ORIENT STAR限定プログラムでお得にオーバーホールを


――お話の最初で「機械式時計はメンテナンスをすれば世代を超えるくらい長く使える」とお聞きしましたが、そのメンテナンスとはどのようなものですか?

一番大切なのはオーバーホールです。機械式時計は部品の交換が原則不要で、世代を超えて使い続けられるものとお話ししましたが、このオーバーホールを受けていただくことでその機械式時計ならではの魅力を実感してもらえると思います。オリエントスターでは2~3年に一度のオーバーホールを推奨しています。


――具体的にはどんなことをしてくれるのですか?

まずは内部機構(ムーブメント)のクリーンアップです。機械式時計のムーブメントは極小のパーツや歯車で出来ていて、それらがスムーズに動くように潤滑油を差してあるんですね。そこにほこりやちりが入るとそこから部品の劣化につながることがあります。また、潤滑油自体も経年劣化するものなので、油を交換せずに使い続けていると部品を劣化させてしまう可能性があるんですよ。その状態で長い間放置しておくと、修理不能ということにもなりかねません。それらの劣化を防ぐために、部品一つ一つをすべて分解・洗浄し、再度組み上げて、注油を行い、精度を調整するというのが主な作業になります。

――目に見えない部分をきれいにしてくれるのですね。

外装部分も同じようにクリーニングにします。防水性にかかわるゴムのパッキンを交換して防水テストを行ったり、あとはケースやバンドの洗浄も行います。中身も見た目もきれいさっぱりリフレッシュし、磁気帯びがないかをチェックして、精度や防水性を購入時のように回復させるというイメージですね。

オーバーホールを行う前のムーブメント(左)と、行った後のもの(右)。パーツに付いた汚れ、金属のくすみがとれ、金属本来の色に戻ったのが分かる
汚れがたまりやすいケースとバンドの接触部分。洗浄前(左)を見ると汚れの多さに驚く


――オーバーホールの依頼から完了まではどんな流れになるのでしょうか。

まずは、オーバーホールしたい時計を販売店に持ち込んでいただくか、もしくは修理センターに直接お送りいただきます。お忙しい方などは、ご自宅の玄関まで集荷に伺う「引き取りサービス」もご利用いただけます。お預かりした時計を修理技能士がチェックし、「こういう症状があるのでこんな修理が必要です」という修理内容とお見積りをお出しします。それらをお客様にご了承いただいた後に、実際にオーバーホールに取り掛かります。作業完了後、ご自宅にお戻しするという流れになります。

――期間と費用はどの程度かかりますか。

修理内容とお見積りのご提出にだいたい1週間前後、実際のオーバーホール作業に3~4週間ほどいただいています。特殊なケースを除けばトータルで4~5週間ほどになりますね。費用は、時計の種類によっても多少変わりますが、一般的なオーバーホールですと2万円前後です。

――なるほど…… 少し身構えてしまいそうですが、「with ORIENT STAR」なら、気軽に受けられるメンテナンスサービスがありますよね。

はい。そうなんです。もっと気軽にオーバーホールやメンテナンスを受けていただき、時計を末永くご愛用いただくために、「with ORIENT STAR」で時計をご購入いただいた方向けのサービスプログラムをご用意しています。今お話ししたオーバーホールサービスと、時計の状態を点検し外装の簡易クリーニングを行う「リフレッシュ&チェックアップサービス」が、保証期間終了後7年間、無償または優待価格でお受けいただけるというサービスです。また、保証期間を延長するサービスも無償で付帯しています。サービス内容はモデルによって異なるため、詳しくは以下のページをご参照ください。

with ORIENT STAR サービスインクルーシブ


――保証期間延長とメンテナンスのサポートはお客様も安心ですね。

ご購入いただいた時計をより長く使っていただきたい、オリエントスターならではの魅力を実感していただきたい、という思いからご提供しているプログラムです。
普段からきれいに使っている時計も、メンテナンス時の洗浄で驚くほどきれいになり、皆さん喜ばれます。しかも、中身もチェックするので安心して使うことができます。

オリエントスターには「3つのよろこび」というブランドコンセプトがあり、その一つが「繋ぐ慶び」というもの。お客様の時計ライフをサポートし続けること、そしてオリエントスターと一緒に地球もより良い状態のまま次の世代に渡すこと、それが私たちが考える繋ぐ慶びです。
ぜひご活用ください。