“紙使いの匠”篠﨑均さんがペーパークラフトで挑戦! 「メカニカルムーンフェイズ」再現チャレンジ【前編】

2022年04月12日

オリエントスターの「メカニカルムーンフェイズ」を、紙を使って原寸大で再現! 小さなパーツはどうするの? 高級感や立体感は出せるの? 完成品が誰にも想像できないこの制作に挑んでくれるのが、ペーパークラフト作家の篠﨑均さんです。そこで篠﨑さんの「メカニカルムーンフェイズ再現チャレンジ」を2回に分けてレポートします。前編では制作前の心境や制作のプランについて伺いました。

文:with ORIENT STAR 編集部



時計職人さんの思いや言葉にぐっときた


「実際の製品を初めて見た時、とてもクラシカルで素敵なデザインで、どこかかわいい時計だなという印象を受けました。精密機械である腕時計のペーパークラフトは初めてで、難度が極めて高いなと感じましたが、だからこそ自分の一つの挑戦というか、わくわくした気持ちがありますね」

オリエントスター「メカニカルムーンフェイズ」の第一印象をこのように振り返ってくれたのは、イラストレーターやペーパークラフト作家として活動する篠﨑均さんです。篠﨑さんはデザイン系の専門学校を卒業後、自動車専門の出版社の美術部に入社。そこでテクニカルイラストレーションの技術を学ぶかたわら、ペーパークラフトの制作でも独自の世界に没頭します。紙の車を組み立てる楽しさが読者から好評を博し、篠﨑さんが作るペーパークラフトは月刊誌で2年間も続く人気連載となりました。

篠﨑均(しのざき・ひとし)さん。20代前半でペーパークラフトに目覚め、30歳で自身のアトリエを構えてからはペーパーアート作家として活動。2008年にはレーシングカー、SUPER GT EPSON NSXの原寸大のペーパークラフトを制作した。全国各地で制作物の展示も行い、直近では2020年に長野・諏訪にある高原のミュージアムで個展「紙使いの匠 篠﨑均の世界」を開催。1959年生まれ


その後、出版社を退職した篠﨑さんは自身のアトリエを構え、ペーパークラフトやダンボールアートの日本一を決めるテレビ番組にも出演。ダンボールアートでは見事3連覇を果たしました。最初は自動車から始まった“篠﨑ワールド”は、その後ロボットやカメラ、飛行機、そして恐竜などにも拡大。10年ほど前からは、セイコーエプソンがサポートするナカジマレーシングのレースカーやピットの設備、さらには監督やドライバーといった人物のペーパークラフトまで手掛けています。

篠﨑さんが2018年に制作したペーパークラフト。セイコーエプソンがスポンサードするナカジマレーシングのピットのジオラマ(上)とレーシングカーを運ぶトランスポーター(下)。セイコーエプソンのウェブサイトにて無料で提供中


そんなペーパークラフトの第一人者であり、「紙使いの匠」とも呼ばれる篠﨑さんですが、こと腕時計のオファーは今回が初めて。まずはオリエントスターというブランドや機械式時計を知ることから取り組んだそうです。

「オリエントスターのウェブサイトを訪ねたら、着ける悦びと魅せる喜び、そして繋ぐ慶びの『3つのよろこび』という素敵なコンセプトがあって。『よろこび』の漢字がすべて違っていて、なるほど、と感心しました。その中で職人さんがこんなことを語っていました。『人が動いたり巻いたりしないと止まってしまう機械式時計に愛着を感じる』『自分たちが磨き、組み上げた作品だからこそ多くの人に愛されてほしい』と。自分も職人意識で仕事をしているので、この言葉、職人さんの思いが胸にぐっと刺さりましたね」

篠﨑さんの作業部屋。設計図や取扱説明書を作成する際は、パソコンでイメージ編集ソフトのイラストレーターを使って作業するそう
ペーパークラフトの制作に用いるツールの数々。左側、液晶を備えた細長いツールはデジタル表示式のノギス。立体物の厚みや幅を計測するために用いる。その2つ右側、パンタグラフ機構で横に広がる道具は、等間隔の線などを書くための等分割デバイダーというツール


篠﨑さんは小さい頃に機械式時計のぜんまいを巻き上げた記憶があるものの、その後、大人になると時代はクオーツ時計の全盛期。機械式時計とは疎遠になっていきました。それからおよそ半世紀ぶりの機械式時計との再会。そこには新しい発見があったそうです。

「会社勤めをしていた頃は、時間が分かればいいかなという気持ちと、あとは女の子に良く思われたいというヨコシマな考えで(笑)、ファッションウォッチのようなものを着けていました。でも今回、機械式時計にじっくり触れてみたら、すごくいいですね。耳を当てたらチチチと音が聞こえるし、持った感じの重量感や高級感もやっぱり違う。感情的な良さがあります。しかもこの時計はスケルトンになっていて中が見えるじゃないですか。それがすごく素敵です」

最大の難関は、薄くて長くてまっすぐなこのパーツ


皆さんご存じのように、ペーパークラフトとは平面の紙からパーツを切り出して、曲げたり接着したりしながら立体物を作るもの。プラモデルの紙バージョンとも言えますが、すべてのパーツが薄い紙である点が大きな違いです。そのため、ペーパークラフトのキットを制作する場合は、立体のパーツ一つ一つを薄い紙に落とし込まなければなりません。一体どのようなプロセスで制作を行っているのでしょうか。

「何を作るにしても、まずは対象物をぼんやり眺める時間が必要なんです。ゆっくり眺めながらここはどうしようかな、こうしたらできるな、などと考えます。レーシングカーなんかは現物を見に行って、なめるようにあらゆる角度から写真を撮ってきて、それを見ながらどこを切断するか、パーツに分ける線をスケッチしていきます。この時間が結構かかるのですが、今回は初めての腕時計ということで、いつもより長くかかりそうです」

制作の最初のプロセスは、ぼんやり眺めること。「横面、縦面、斜め面など、どうやって面を取るかを考えます。面取り合戦のような感じ」の思考を続ける


レーシングカーや恐竜など、大きいものを小型化してペーパークラフトの制作を行うことはこれまで何度となく経験してきた篠﨑さん。ですが、わずか直径40mm程度の小ささで、しかも極小のパーツで構成される腕時計のようなプロダクトを手掛けるのは初めての試みとなります。

「腕時計のケースは、円柱の延長のようなものなので何とかなると思います。あと、文字盤がとても凝っているので、ここは模様を忠実に再現し、段差もリアルに出したいですね。このあたりはパソコンで細かく作っていきます。文字盤の穴の中の見え方も丁寧に再現したいですね。ここまでは見通しが立っているんですけれど…」

篠﨑さんが頭を悩ます部分、それが最初に感じた感情的な良さの部分だそうです。

「金属特有の光沢感、これを紙でどこまで出せるかが問題です。ペーパークラフトの出力紙にはシルバーがなく、近い色だとグレーになってしまうので、この金属感をどうしようかなというのが一つ。それともっと悩ましいのが、針です。時針や分針も大変そうですが、特に秒針は出力紙の厚さよりも薄いと思います。紙は薄くするとよれてしまうので、それをいかにしてピンとさせるか。軸の部分だけで支えながら細くまっすぐに延ばす、これが一番難しいですね。今までこんな難しさは経験したことがありませんよ」

メカニカルムーンフェイズをパーツごとに分解したような篠﨑さんのスケッチ。部位の名称や特徴、サイズなどを書き込んでいく


折り紙から機械式時計へ。匠の技の系譜と共通する楽しみ


思わず「秒針はどうするんですか?」と尋ねると、「まあ、何とかしますよ」と余裕綽々のご様子。匠ならではの秘技があるのか、神の手が繰り出されるのか、期待は膨らむばかりです。最後に実制作への意気込みを伺うとこんなふうに語ってくれました。

「そもそも紙工作の文化は、室町時代あたりに折り紙で始まったもの。それが日本人の器用さや巧みな技術を育んできた部分があると思いますし、後の現代になって機械式時計のような精密機器を作る技術につながっているのではないかと思います。機械式時計はメンテナンスをすれば子どもや孫の代まで譲り渡していけるもの。一方のペーパークラフトも型紙があればいつでも出力して楽しめるもの。そんな共通する楽しさを意識しながら制作したいですね」

気になる完成予定時期は初夏頃とのこと。完成したペーパークラフトのキットは、ウェブサイトからダウンロードしてお楽しみいただけるように計画中です。ぜひご期待ください!



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