ポイントは品格と個性のバランスにあり。ビジネスの先輩に聞く「新社会人にふさわしい腕時計」
2023年3月30日
社会に出てビジネスパーソンとして働く際には、相手に失礼がないように覚えておきたいビジネスマナーが多くあります。そのうち、身だしなみのマナーについてはなかなか学ぶ機会がないものの、自身の第一印象を大きく左右する重要な要素です。そこで、社会人として心掛けたい身だしなみのマナーや失敗しない腕時計選びについて、3名のビジネスの先輩に伺いました。先輩たちの経験則は、すぐに実践に移せる“生きた”アドバイスになりそうです。
“気に入りの一本”が仕事への自信を与えてくれる
まずお話を伺った社会人の先輩は、企業の組織開発や人材育成の分野で活躍されている金子浩明さんです。金子さんは、組織人事分野のコンサルタントを経て、現在は日本最大のMBA(経営学修士)スクールであるグロービス経営大学院の教員として、ビジネスリーダーの育成に携わっています。さらに国立研究開発法人でも人材育成のプログラムに携わる、まさに組織人事分野のエキスパートです。
「昔から洋服が好きだったので、若い頃は基本的に自分の好みのものを着ていました。その意識が変わったのは人前に立つようになってからですね。例えば、社会人大学院や企業で講義や研修を行う場合は、受講者の皆さんに少しでも役に立つ学びを持ち帰ってほしいという思いで話をします。でもそこで洋服が目立ってしまうと気が散ってしまい、話に集中してもらえないと思うのです。これはビジネスの商談やプレゼンの時も同じことですよね。自分の話を聞いてほしいと考えるなら服装で主張しすぎない、ノイズになるような余計な情報は与えない。服装を無難にまとめて損することはありません」
近年は働き方の変化に伴って、カジュアルな服装もある程度は許容されるようになってきました。この流れについても金子さんは、「シーンをわきまえること」「相手への敬意を忘れないこと」が大切だと説きます。そしてもう一つ心掛けているのが、「自分の気に入りを持つこと」だそうです。
「ある程度大きな仕事を任されるようになってからは、自分に自信を与えるために気に入りのものを持つようにしています。ある種お守りのようでもあるのですが、気に入りのものを持っていると“大丈夫だ”と思えるんですよ。私の場合は筆記具やラペルピン(注:ジャケットの襟元に付けるアクセサリー)、あとは腕時計などですね。腕時計は男性にとって数少ない装飾品なので、気に入ったものを持つのはいいと思います。特に機械式時計は適度な重さに“本物感”を覚えますし、メンテナンスをすれば長く使える点が所有欲をくすぐります」
その金子さんの目に留まったのが、オリエントスターの「レイヤードスケルトン」です。それぞれヘリンボーンとペイズリーのパターンを施した2枚の文字板に、ブルーとライトブルーの色みをあしらった2023年のニューモデルです。
「若い頃はクロノグラフやダイバーズウオッチなど、少し装飾があるものが好みでしたが、今はシンプルなものへと嗜好が変わってきました。その点、このレイヤードスケルトンはシンプルでありながら個性もあって、新社会人の時期から中堅や管理職の立場になった頃まで、飽きることなく長年着用できそうです。スタイリッシュなデザインなので、例えばネイビーのスーツにクレリックやストライプなど、しゃれっ気のあるシャツを合わせるといいと思いますね。カジュアルな服装にも合わせやすくて、このブルーの色みがアクセントになってくれそうです」
全体は主張しすぎずにあくまでも控えめに、おしゃれ感や個性は小物で添える。品格を基調としながら程よく個性的なレイヤードスケルトンは、ビジネスリーダーを目指す社会人の手元にふさわしい時計と言えそうです。
何十年後でも“戻ってきたくなる時計”です
続いてお話を伺ったのは、社会人のキャリアをキャビンアテンダントとしてスタートし、その後、ご自身で起業された荒井弥栄さんです。背筋がすっと伸びた姿勢や聡明な語り口は“これぞエグゼクティブウーマン”という印象ですが、それもそのはず、荒井さんの職業は企業の経営者や上級管理職に向けて、英語や交渉術を指導するエグゼクティブトレーナー。いわばご自身がエグゼクティブの見本でもあるのです。そんな才色兼備の荒井さんが新社会人に送るアドバイスとは?
「日本のビジネスではやっぱり対人スキルが重要です。そこでおすすめなのが、名刺交換の際に相手の名刺入れを褒めること。“色がきれいですね”“おしゃれですね”などと褒めると次の会話もしやすいと思います。それと、これは私が起業した後の実体験なのですが、初対面の方と打ち合わせを終えた後に“あなたとはいい仕事ができそうです”と言われたことがあって。なぜかというと、私が目をそらさなかったから。目を見て話をするにはある程度自信が必要ですが、たとえ自信がなくても相手と通じようとする気持ちは伝わるので、いいコミュニケーションが取れると思います」
そんな荒井さんにとって、ビジネスの際に絶対に欠かせないのが腕時計。自分が仕事で頑張ってきた勲章のような存在であり、着けていると安心できるお守りのような存在でもあるそうです。ただし、新社会人の時計選びには注意が必要と説きます。
「海外の企業では、新社会人がどんな腕時計を着けようとそれは個人の自由。私自身もそういう考えです。ただ、日本の企業、特に少しお固い業界ですと、目立つものを快く思わない人がまだ一定数はいると思います。ですから、あまりに派手なものは避けたほうが無難でしょう。一方で、自分も会社の顔となるわけなので、チープなものだと会社のイメージを下げかねません。そう考えると、国産のしっかりした時計というのはいい選択肢だと思います。若い時はどうしても海外のブランド品に目がいきがちですが、そこで国産の精密な時計を着けていたら“それ、どこの時計?”みたいに先輩や上司との会話にも繋がる気がしますね」
そうした目線で、新社会人の女性に向けて推奨してくれたのが、オリエントスターの「クラシックセミスケルトン・レディース」です。曰く、「自分の印象も会社のイメージも上げてくれそうな時計」だそうです。
「まずは華がありますよね。ピンクゴールドのカラーが華やかで、しかも肌をきれいに見せてくれる色なので女性からするとうれしいです。文字板に穴が開いていて、そこから中の機械が見えるのもとても個性的。ビジネスでは淡い色の服が多くなるので、手元にこのくらいの華があるといいと思います。オフィスではもちろん、会食やレセプションにも着けて行けますしね」
ご自身が時計好きということもあって、荒井さんの審美眼はとても洗練されています。
「文字板の色みや繊細なローマ数字など、全体のデザインはクラシックだと思います。これでサイズが小さいと完全にクラシックになってしまうけれど、この時計はやや大きめで現代的。クラシックと現代の融合のような印象があります。だから、きっと年代を気にせず使えると思いますよ。例えば、20代で就職した時にこの時計を持ちます。その後、ちょっと浮気をして他の時計をするかもしれませんが、40代、50代になってまたこの時計を着けるのもいいですよね。いつでも戻ってこられる時計、戻ってきたくなる時計だと思いますね」
定期的なメンテナンスを行えば長年使用できることは、機械式時計の大きな特徴の一つ。今の自分を高めてくれるだけでなく、なおかつこれから先の長い人生を共にできるものを、という視点は、新社会人の時計選び、あるいは初めての機械式時計選びにとっても有用なアドバイスでしょう。クラシックセミスケルトン・レディースがまとった時代に左右されないタイムレスな美しさが、ビジネスの先輩であり、時計の審美眼に優れた荒井さんの琴線に触れたようです。
サービスのプロがオリエントスターを選んだわけ
最後にお話を伺う先輩は、箱根の高級旅館で支配人を務める横川貴士さんです。横川さんは10代の頃にフレンチのシェフを目指して一流レストランに入店したものの、そこでサービスの面白さや奥深さに目覚めてその道へと転身。以来、レストランや婚礼、ホテル、旅館など多くの業態でサービスに携わってきたプロフェッショナルです。
「サービス業は常にお客様と対面するのであらゆるマナーが求められますが、中でも大切なのが言葉遣いと姿勢です。言葉遣いに関しては、尊敬語や謙譲語といった基本をしっかりとマスターすること。姿勢に関しては、特に意識したいのは男性ですね。女性はそもそも姿勢や所作がきれいな人が多いので普通にサービスをすれば様になります。でも男性はそれらを意識してこなかった人がほとんどなので、よほど気を配らないと女性のような美しい所作になりません。どれだけ意識しても、意識しすぎということはないと思います」
どんなことも基本をしっかりとマスターすること――。それがサービスに従事する者に必要な心構えだと説きます。そのお考えは身だしなみにも表れています。
「やはり重要なのは清潔感です。髪、ひげ、爪など、いついかなる時も細部まで整っていることが大切です。それから身に着けるものにも気を配ること。男女共に派手なアクセサリーを着ける人はいないと思いますが、注意したいのが腕時計です。私が若い頃は“お客様より高い時計はNG”と言われていました。私も数千円の時計を購入して着けていましたね」
若かりし頃をそう振り返る横川さん。では現在はどんな時計を着けているかというと、実はオリエントとオリエントスターの愛用者です。この数年は長らくオリエントの時計を着けていたそうですが、昨年にオリエントスターの時計を入手されたとのこと。ご自身で選んだのは、ダイヤルに独特のオープンワークを施した「モダンスケルトン」のブルー文字板モデルです。
「現在の役職に就いて仕事で大きな山を超えた時に、自分へのご褒美として購入しました。日頃のちょっとしたご褒美はワインなのですが、大きなご褒美だったので思い切って腕時計を。昔だったら“サービスする人間がそんないい時計を着けちゃダメだ”と言われたでしょうが、今はもう少し柔軟に考えていいのかなと思います。実は購入する前に、グリーン文字板のモデルとどちらにするかとても悩んだんです。最終的に決め手となったのは、グリーンは自分の仕事からすると少し個性が強いなということ。要するに自分の立場をわきまえて、節度を守った上で好みのものを選べばいいと思いますね」
それは新社会人も同じことだそう。重要なのは、「自分の立場に見合っているかどうか」だと話します。
「だから、ある程度カジュアルな服装が許される仕事でしたら、新社会人の方がグリーン文字板のモデルを着けてもいいと思います。この時計を着けているお客様がいたら、“この人はおしゃれにこだわりがありそうだな”と思いますね。もう一つのホワイト文字板のモデルは、これはもうどんな人にも似合いますよね。ホワイトには純粋さ、素直さのような印象もありますし、文字板に穴が開いているのでフットワークの軽さのようなものも感じます。新社会人にはもってこいだと思います。弊社の新入社員が着けていたら、時計話に華が咲いて意気投合しそうですね」
さて、今回は3名の先輩に新社会人へのアドバイスを伺ってきました。腕時計の選び方の要点をまとめるならば、派手なものは当然避けるべきですが、だからといって単にシンプルなものでは物足りないもの。そこに自分の好みや格好良さ、憧れなどがあればこそ、自信や高揚感、仕事へのモチベーションにつながるのでしょう。要は、品格と個性のバランスで選ぶということ。今回ご紹介した「レイヤードスケルトン」や「クラシックセミスケルトン・レディース」、そして「モダンスケルトン」は、まさにそれらのバランスに優れた、新社会人の方の手元にもふさわしい腕時計です。