60年越しの全貌解明へ。ダイバー久保彰良さんが語る「龍泉洞」に引かれる理由、挑み続けるわけ

2022年2月14日

出典:岩泉町龍泉洞事務所

日本に存在する鍾乳洞の中にはその全貌が解明されていないものが多くあります。その一つが岩手県岩泉町にある「龍泉洞」です。龍泉洞の潜水調査は1960年代に始まり、その後中断や延期などの紆余曲折を乗り越えながら少しずつ全貌解明へと近づいています。その調査が今年、約6年ぶりに実施される予定です。調査隊隊長の久保彰良さんに龍泉洞の魅力、そして調査への思いや意気込みを伺いました。

文:with ORIENT STAR 編集部



言葉を失うほど素晴らしく、類例がないほど美しい


今からさかのぼることおよそ60年。戦後の経済復興が進んだ1960年代は世界の人々の目が海に向いた時代でした。画期的なダイビング器材のレギュレータ(アクアラング)を発明したジャック=イヴ・クストーらが、海洋冒険を盛んに試みたのもまさにこの頃です。

そうした潜水家たちの活動をサポートするべく、欧州や日本の主要時計メーカーから潜水やダイビングをテーマとした腕時計が開発されます。現在のダイバーズウォッチの原型となるモデルです。オリエントもその例に漏れず、1964年に「ダイバー」という名を付した最初の手巻きモデル「オリンピアカレンダーダイバー」(通称ファーストダイバー)と、自動巻きの「カレンダーオートオリエント」(同セカンドダイバー)を発表します。これらは防水性能が40mでプロ向きの仕様ではありませんでしたが、その5年後の1969年に発表した「オリエントキングダイバー1000」では防水性能を1000mへと改良。オリエントブランドの本格機械式ダイバーズウォッチの歴史が幕を開けました。

1964年に発表した手巻きの「オリンピアカレンダーダイバー」。潜水用ではなく日常使い向けとしてつくられたため、ダイバーと名が付くもののエレガントな印象も併せ持つ。2021年にはこのモデルをリバイバルした200m防水の「ダイバー1964」を発売


当時、東京・日野に本拠を置いていたオリエントがファーストダイバーを発表する2年前の1962年、東京から500km以上離れた岩手県岩泉町で、ある潜水調査が開始されます。日本三大鍾乳洞の一つとされるも、その全貌が解明されていない龍泉洞の調査です。日本屈指のダイバーたちによる数年に及ぶ潜水調査により、新たな地底湖の存在や現在公開されている第3地底湖、未公開の第4地底湖の存在を突き止めるなど、多くの成果を上げますが、悲劇は突然訪れます。1968年、潜水中の事故により調査隊員の一人が帰らぬ人となったのです。龍泉洞の潜水調査は無期限中断、全貌は未解明のまま残されていました。

この潮目が変わったのは、それから41年後の2009年のこと。龍泉洞の潜水調査が再開されることになったのです。

「最初に話を聞いた時は、楽しみと不安が半々でしたね。誰も行ったことのないところへ行ってみたいという気持ちと、過去に事故が起きたという事実。当時は龍泉洞という名前だけは知っていましたが、それ以上の知識はありませんでした。これは潜ったことがある人に話を聞いたほうがいいと思い、テレビ番組の取材で潜水経験のある須賀次郎さんにいろいろと教えてもらって」

そう振り返るのは、再調査の初回から現在まで調査隊の総指揮を執るダイバーの久保彰良さんです。久保さんは40代の頃、アメリカの大学院で国際環境政策を専攻しながら、潜水のリスクマネジメントについても学んだ経験を持つ方。日本に帰国後も、いかにして安全に潜るかということを普及させる活動を行っていたため、龍泉洞の潜水調査隊の隊長として白羽の矢が立ったのです。

久保彰良さん。DIR-TECH Diver’s Institute主宰。東京とフィリピンの拠点を往復しながらダイビング・インストラクション活動を行う。日本水中科学協会および日本洞穴学研究所所属。1953年生まれ


「2009年の年始に連絡を受けてそこから準備や役所への申請を行い、実際に潜れたのが2009年の年末でした。調査の前日にチームみんなで岩泉町の氏神様のところに行って安全祈願をして、それから第3地底湖、実際に潜るところですね。そこに塩と酒をまいてもう一度安全祈願をして。この年、ダイバーが潜水調査から無事に戻ってきて、地底湖の存在が確認できたという報告を受けた時、その映像を見た時はやっぱり気持ちが上がりましたね。今でも記憶に残っています」

2009年の第1回を皮切りに合計6回の調査を行ってきた久保さん。知れば知るほど龍泉洞に引かれていく自分がいるそうです。

「第3地底湖に立つと直径5~6mくらいの穴しか見えていないのですが、いざ潜るとエレベーターシャフトのように水深33mまでズドーンと垂直に下がります。そこから斜面になってさらに45m付近まで潜ると、私たちがナチュラルブリッジと呼ぶ広大な場所に出ます。エレベーターのような狭い場所から一気にパーンと広がった光景が壮大で、言葉も出ないほど素晴らしいんです。それともう一つは水の美しさ。ダイバーは洞内を強力なライトで照らしながら潜りますが、海でも湖でも普通はちりなどが映るんですね。でも龍泉洞は何も映らない。映ったとしたら自分たちが発生させた気泡か、横の壁からはがれ落ちたちり。私はあれ以上に透明度の高い水を見た経験がありません」



言葉を失うほど素晴らしく、類例がないほど美しい


2009年に再開された龍泉洞の潜水調査でしたが、2016年にまたしても中断を余儀なくされます。岩泉町が大型台風の被害に遭い、地元の復興が急務となったからです。それからおよそ6年、その復興作業がほぼ完了することを受けて、この2022年の初夏に調査再開に向けた予備潜水が予定されています。

「今回の調査はある意味、準備のような位置付けで、本格的な調査は8回目以降になると思います。この一連の調査の最大の目的は、やはり龍泉洞の全貌を解明すること。相当大きな洞窟なんですよ、龍泉洞は。最初は1960年代の調査隊が作ったルートを進んでいたんです。彼らはこのルートを進み縦穴を抜けるとその奥に大きな地底湖があるという記録を残して、そこで事故が起きたんですね。でもそのルートではどうも水面に達することができないと分かってきた。そこで今は別のルートを作って調査を行っていて、それがあと数回の調査で完了する予定です。また、その過程で水や鍾乳石の調査を行ったり、1960年代の調査隊の残置物を回収したり、ということも主な作業になります」

実際の潜水調査の様子。潜水時に身に着ける装備の総量は100kgを超えるという。写真手前、グリーンのドライスーツに身を包んだダイバーが久保さん(写真提供:久保彰良)


これまでの調査は無事故で終えているそうですが、潜水調査にリスクは付き物です。また、調査費用の一部は岩泉町から支給されていますが、足りない分は久保さんをはじめダイバーのみなさんが自己負担されるそうです。時間も費用も、さらにリスクも負いながら、なぜ龍泉洞の解明に挑み続けるのでしょうか。

「例えば、初めて訪れた旅行先で朝早く起きて散歩してみたくなりません? どんな町並みでどんな風景が見えて、どんな人たちが営みをしているんだろうと、知りたくなりますよね? そういう興味が人間を動かすと思うんです。通説によれば、東アフリカで新人類が誕生してアラビア半島に行き、灼熱の砂漠を越えてインドに渡って、ヒマラヤを越えて中国に渡り、さらにベーリング海峡を渡ってアメリカに行っちゃうような生き物なわけです、私たち人間は。そういうDNAというのは、強弱はあるにしろ、どなたにでもあると思う。私にはそれが強くあります。違う世界を見たいという、知的好奇心と言ってもいいかもしれません。そういうものに人間は突き動かされて、歴史を動かして、時にはおかしな方向に行くこともありましたが、なんとか生き延びてきたわけです。今、本当に人間が生き延びられるかという瀬戸際に来ているかもしれませんけれど、それでも人間は何らかの解決策を見いだすのではないかと。それが宇宙に移住することなのか、海底に移住することなのか、あるいはもっと別の方法なのかは分かりませんけれど、私自身が根源的に人間の英知を信じたいと思っているんです。もともと脳天気な人間ということもありますが(笑)、プラス思考しかできないタイプなんですよ」

久保さんは21歳でダイビングを始め、46歳の時にアメリカのモントレー・インスティチュート・オブ・インターナショナル・スタディーズに留学。国際環境政策を専攻する傍ら潜水の安全性についても学び、この分野における日本での第一人者的ダイバーとなった


見たい、知りたいという知的好奇心こそが龍泉洞調査への原動力になっているようです。最後に腕時計について伺ってみると、こんな“マイルール”を話してくれました。

「潜水の際には主にダイブコンピューターを使用していますが、日常生活では常にダイバーズウォッチを身に着けています。そして陸で身に着けるとはいえ、ダイビングで使えるようなスペックを備えた、れっきとしたダイバーズウォッチでなければダメなんです。理由は、水中で活動するプロのダイバーであることを日常的に感じていたいからです」

ハイスペックやパワフルなデザインはもちろんダイバーズウォッチの魅力ではありますが、久保さんのようなダイバーが持つ冒険心や未知の領域に挑むロマンが感じられること、そして手元からポジティブなマインドを与えてくれそうなこともまた、ダイバーズウォッチを身に着ける喜びなのかもしれません。

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